論文のご紹介
放課後等デイサービス ステップ光町・ジャンプ教室のプログラムの特徴の一つに「話し合い活動」があります。「話し合い活動」については、折に触れて紹介してきました。
参加人数が一番多いのは、月初めの土曜日の午前中に「その月の土曜日は何をするか」というテーマの話し合いです。その他、自由遊び時間の内容や季節のイベントの企画などを決める話し合いを、必要に応じて行っています。
今では、何かを決めないといけないときには、子どもとたちが自発的に話し合いを持つようになっています。
ジャンプ教室の児童指導員であり、臨床心理士の藤登先生が、この「話し合い活動」を取り上げた論文を、一般社団法人日本アドラー心理学会の学会誌「アドレリアン」に投稿し、この度、「実践報告 放課後等デイサービスにおける話し合い活動の実践-アドラー心理学の力を借りて-」とのタイトルで掲載されました。(アドレリアン38巻2号(通巻105号)p8-15))
先に述べた自発的な話し合い活動は、一朝一夕にできるようになったわけではなく、ジャンプ教室の児童指導員・保育士の皆さんが試行錯誤しながら6~7年かかって、今の形になりました。論文では、試行錯誤の過程を紹介し、最後にアドラーの言葉を引用し、放課後等デイサービスのあるべき姿を遠望しています。
この4月から、ジャンプ教室に新1年生6人が入ってきました。それぞれに素晴らしい個性をもっています。来た当初は緊張していましたが、1か月が過ぎ、本領を発揮し始めています。しかし、私が本当に感心するのは、新1年生が話し合い活動に参加したときに、自分の意見をどんどん言うことです。意見の中には、非現実的なものもありますが、物怖じする様子は見られません。
このことは、全員が「座る」「話を聞く」「意見を言う」ことができている、という事です。体幹の弱さゆえにグネグネしたり、集中が続かなかったりする子もいますが、基本的なことはできています。
これから、進級・進学していくにつれて、一人ひとりの特性に応じた、様々な問題が出てくるでしょう。でも、確実に言えることは、基本的なことを身に付けて、学校生活のスタートラインに立てたという事です。
彼ら彼女らは、全員が児童発達支援 ステップ光町・ホップ教室から上がってきた子どもたちです。ホップ教室では、プログラム前後の始めの会と終わりの会で、毎回自己紹介やお題への答え、聞く練習、感想の発表を行っています。そのため、人前で話すことや考えて話すことに慣れています。また、学習や読み聞かせ、リトミックでは、「座る」「聞く」ことが必要になります。このような継続的な支援によって、「座る」「聞く」「自分の意見を言う」ことができるようになるのです。
ジャンプ教室の「話し合い活動」でも述べたように、ホップ教室においても、「座る」「聞く」「自分の意見を言う」が最初からできたわけではありません。ホップ教室の保育士・児童指導員の皆さんが、泣き、わめき、走り回る子どもたちに根気よく関わり続けた結果、身についたものです。
子どもたちとの関りには、魔法はありません。だからこそ、早期支援が大切なのです。発達の早い段階から、子どもたちが、「自分のありのままを受け入れてくれる」「信じて関わり続けてくれる」「何かあれば、励まし支えてくれる」体験を重ねることで、自己肯定感が育まれ、子どもたちの「ウエルビーイング」が保証されるのだと思います。
論文を読んでみたいという方は、職員にお申し出ください。ジャンプ教室、ホップ教室の児童指導員、保育士が、何を考えて子どもたちと関わっているのか、その一端を知っていただければ幸いです。
2025年4月14日