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「発達障害」ってなに

「発達障害」ってなに

発達障害とは、生まれつきの認知や行動の特徴によって、対人関係やコミュニケーション、行動や感情のコントロール、学業など、日々の生活に大きな困難を伴う状態のことです。医学の分野では、「神経発達症(群)」という言葉が使われことが多いです。

「神経発達症」は、「DCM-5」で使われいる言葉です。世界的に統一された診断基準として、日本を含む多くの国で精神疾患の診断の指針として使われています。「DSM」は、アメリカ精神医学会が作成している精神疾患を分類した診断基準で、日本では「精神疾患の診断・統計マニュアル」といいます。最新版は、「DCM-5」を改定した「DCM-5-TR」(2022年)です。

日本では、発達障害を「発達障害者支援法」(平成16年)という法律で、次のように定義されています。「この法律において「発達障害」とは、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるものをいう。」(発達障害者支援法 第二条)条文中の「その他これに類する脳機能障害」には、吃音、チック症、場面緘黙症などが含まれます。

「DMS-5-TR」では、「神経発達症群とは、発達期に発症する一群の疾患である。この障害は典型的には発達期早期、しばしば就学前に明らかとなり、個人的、社会的、学業、または職業における機能の障害を引き起こす発達の欠陥あるいは脳内プロセスの差異により特徴づけられる。発達の欠陥または違いの範囲は学習または実行機能の制御の非常に特異的な制限から、社会的技能または知的能力の全般的な障害まで多岐にわたる。」と定義されています。

「DMS-5-TR」の神経発達症(群)には、知的発達症、自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如多動症(ADHD)、コミュニケーション症群、限局性学習症(SLD)、チック症群、吃音、発達性協調運動症(DCD)等の分類があり、医学上の診断名として使用されることが多いです。

先の「発達障害者支援法」の定義と比較すると、重なるところや違うところがあり、呼び名も混在しているのが現状です。

また、日本では法律上、知的障害と発達障害は別の障害とされていますが、「DSM-5-TR」では、知的障害は「知的発達症」という診断名が付けられていて、神経発達症(群)の一つに位置付けられています。したがって、医学的に見た場合、知的障害は発達障害の中に含まれることがあります。

「DSM」とは別に、「ICD」という診断分類があります。世界保健機関(WHO)が作成している精神障害も含めたすべての疾病を分類した国際的な診断基準水準で、「疾疾病及び関連保健問題の国際統計分類」といいます。

現在は、「ICD-10」(1990)を使用していますが、最新版の「ICD-11」が2018年に発表され、日本語版の作成が進められています。

世界保健機関に加盟している国が、疾患統計の報告に「ICD」を使う義務があります。日本はWHOに加盟しているので、年金の申請など公式な診断や報告・法令等に記載する疾病には、基本的にICDの分類が使用されます。

先述した「発達障害者支援法第2条」においても、17文科初第16号 厚生労働省発障第0401008号「発達障害者支援法の施行について」(平成17年4月1日)で「(略)法の対象となる障害は、脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するもののうち、ICD-10(疾病及び関連保健問題の国際統計分類)における「心理的発達の障害(F80-F89)」及び「小児<児童>期及び青年期に通常発症する行動及び情緒の障害(F90-F98)」に含まれる障害であること。(以下略)」(筆者抜粋)と、ICD分類が使用されています。

なお、「ICD-11」の精神疾患の分類方法や診断基準に「神経発達症(群)」というカテゴリーが作られ、「DSM-5-TR」と大きな違いはなくなりました。

注意していただきたいことがあります。発達障害の診断ができるの医師に限られます。「DSN」も「ICD」もインターネットで公開されていたり、書籍が販売されていたり(図書館で借りられます)しますが、自分の障害を自己診断することはできません。あくまでも熟達した医師が基準を参照し、本人からの情報や時に本人以外(家族等)からの情報、知能検査など客観的指標を総合的に考慮したうえで診断名がつくのです。

なお、当ウェブサイトでは、「発達障害」はそのまま用います、各診断名については、「自閉スペクトラム症」(または「ASD」)、「注意欠如・多動症」(または「ADHD」)、「学習障害」(または「LD」)と表記します。

どんな症状なの

自閉スペクトラム症(ASD)

コミュニケーションの場面で、言葉や視線、表情、身振りなどを用いて相互的にやりとりをしたり、自分の気持ちを伝えたり、相手の気持ちを読み取ったりすることが苦手です。また、特定のことに強い関心をもっていたり、こだわりが強かったりします。また、感覚の過敏さや鈍感さを持ち合わせている場合もあります。

保育所や幼稚園に入り、一人遊びが多く集団活動が苦手なことや、かんしゃくを起こすことが多いことで気づかれることもあります。成人期になってから日常生活、家庭、職場などで困難を抱え、精神的な不調を伴い支援を必要とすることもあります。

注意欠如・多動症(ADHD)

落ち着きがない、待てない(多動性−衝動性)、注意が持続しにくい、作業にミスが多い(不注意)といった特性があります。多動性−衝動性と不注意の両方が認められる場合も、いずれか一方が認められる場合もあります。

多動性-衝動性は、落ち着きがない、座っていても手足をもじもじする、しゃべりすぎる、他人の会話に割り込むなどの行動が見られます。

不注意の症状は、ミスが多い、集中し続けることができない、話しかけられていても聞いていないように見える、やるべきことを最後までやりとげない、課題や作業の段取りが苦手、計画的に物事を進められない、整理整頓が苦手、忘れ物や紛失が多い、気が散りやすい、などがあります。

学習障害(LD)

全般的な知的発達には問題がないのに、読む、書く、計算するなど特定の学習のみに困難が認められる状態をいいます。

学習障害は、気づかれにくい障害でもあります。子どもにある困難さを正確に把握し、決して子どもの怠慢さのせいにしないで、適切な支援の方法について情報を共有することが大事です。

その他の発達障害

その他の発達障害として、トゥレット症候群や吃音(症)、発達性協調運動障害などがあります。

トゥレット症候群は、さまざまな運動チックと1つ以上の音声チックが1年以上にわたり続く重症なチック障害です。チックとは、思わず起こってしまう素早い身体の動きや発声のことをさします。

吃音(症)は、滑らかに話すことができないという状態をいいます。音をくりかえしたり、音が伸びたり、なかなか話し出せないといった、さまざまな症状があります。

発達性協調運動障害は、目と手、手と足など 2 つ以上の動きを組み合わせた運動が苦手だったり、ひとつひとつの動作がぎこちなかったりします。 自転車に乗るなどの体を使った活動に苦手さがみられる、くつひもをうまく結べないなど、手先をつかった動作がとても不器用な場合があります。

同じ障害名でも特性の現れ方は一人一人違います。例えば、ADHDで不注意の特性が強く出れば、授業中におとなしく席についいるように見えても。実はぼーっとしていることも多く、全く授業に集中できていないということもあり得ます。その場合、先生から見ると、「授業中に、立ち歩くこともなく、すわっていることができるいい子なんですが、なぜか成績が悪いんです」ということになります。

また、「注意欠陥・多動性障害」と「学習障害」や、「自閉スペクトラム症」と「知的障害」など、2つ以上の発達障害を併発することもあります。

発達障害は外見的に分かりにくいため、親や教師などの周りの人々が、本人の困り感に気付くことが難しいケースもあります。その状況が続くと、本人の自己肯定感が下がり、別の精神障害を発症したり、不登校やいじめにあうなどの二次障害が出てきたりすることがあります。

したがって、発達障害の早期発見・早期支援がとても大事になります。

文章および図は、発達障害ナビポータル啓発用パンフレット「発達障害の理解のために」から引用(https://x.gd/viaKu)「広汎性発達障害」は「自閉スペクトラム症」という診断名になることが多いと思われます。

参考にしたウェブサイト

公益社団法人 日本精神神経学会 DSM-5病名・用語翻訳ガイドライン(初版) (日本精神神経学会 精神科病名検討連絡会)
https://x.gd/uYdlM
アクセス日時:2025年3月31日

公益社団法人 日本精神神経学会
連載 ICD-11「精神,行動,神経発達の疾患」分類と病名の解説シリーズ 序文(神庭重信)
https://x.gd/5AeXJ
アクセス日時:2025年3月31日

発達障害・精神疾患支援チャンネル.
発達障害の診断基準DSM-5とICD-10の違いとは?(マナカル)
https://x.gd/K81P8
アクセス日時:2025年3月31日

WHO
ICD-11精神障害、行動障害、神経発達障害の臨床的説明と診断要件
https://x.gd/Fvm8o
アクセス日時:2025年3月31日

障害保健福祉研究情報システム(DINF)
「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2014年4月号 発達障害とは(吉田友子)
https://x.gd/o55Tr
アクセス日時:2025年3月31日

国立障害者リハビリテーションセンター 発達障害情報・支援センター
諸外国の「発達障害」の用語の使用と支援の概要
https://x.gd/muYbp
アクセス日時:2025年3月31日

国立障害者リハビリテーションセンター 発達障害情報・支援センター
発達障害を理解する
https://x.gd/YbnfV
アクセス日時:2025年3月31日

シノドス(SYNODOS )
「障害」から「症」へ――精神疾患の診断名の変更(井出草平 )
https://x.gd/mJUFW
アクセス日時:2025年4月1日

塩野義製薬株式会社(SHIONOGI)
神経発達症(発達障害)
監修(五十音順)
医療法人南風会万葉クリニック 子どものこころセンター絆 センター長 飯田 順三 先生
国立大学法人信州大学医学部 子どものこころの発達医学教室 教授 本田 秀夫 先生
社会医療法人啓仁会堺咲花病院 副院長 村上 佳津美 先生
https://x.gd/X0QuS
アクセス日時:2025年3月25日

神戸大学大学院医学研究科内科系講座 小児神経学・発達行動小児科学部門
神経発達症(発達障害)とは
https://x.gd/66K4P
アクセス日時:2025年3月25日

ハートクリニック
こころのはなし
https://x.gd/OH6k8
アクセス日時:2025年4月1日

厚生労働省
疾病、傷害及び死因の統計分類
2.基本分類表及び内容例示表(平成27年2月13日総務省告示第35号。令和6年5月15日総務省告示第164号一部改正)
イ.ICD-10(2013年版)準拠 内容例示表
第5章 精神及び行動の障害(F00-F99)
https://x.gd/W4Td2
アクセス日時:2025年4月1日

参考にした書籍・雑誌

DSM-5精神疾患の分類と診断の手引
著者     American Psychiatric Association

日本精神神経学会/日本語版用語監修
高橋 三郎/監訳
大野 裕/監訳
染矢 俊幸/訳
神庭 重信/訳
尾崎 紀夫/訳
三村 將/訳
村井 俊哉/訳

出版者  東京 医学書院
出版年  2014.10.15 第1版1刷 2015.8.1 第1版2刷

標準精神医学 第9版
著者    
尾崎 紀夫/監修 オザキ,ノリオ
三村 將/監修 ミムラ,マサル
水野 雅文/編集 ミズノ,マサフミ村井 俊哉/編集 ムライ,トシヤ
明智 龍男/編集 アケチ,タツオ
村井 俊哉/[ほか]執筆 ムライ,トシヤ
出版者  東京 医学書院
出版年 2024.2

ディスレクシア・ディすぐラフィアの理解と支援/読み書き困難のある子どもへの対応
著者 川崎 聡大
出版社 学苑社
出版年 初版第1刷 2024.10.10 初版第2刷 2024.11.1

ICD-10 精神および行動の障害 新訂版=臨床記述と診断ガイドライン
監訳     融 道男 / 中根 允文 / 小見山 実 / 岡崎 祐士 / 大久保 善朗
出版者  東京 医学書院
出版年  2005年11月

雑誌 こころの科学227号 発達障害の支援をつなぐ
出版者  日本評論社
出版年  2023年1月1日

雑誌 こころの科学234号 「こころの病気」と呼ぶ前に
出版者  日本評論社
出版年  2024年3月1日

雑誌 こころの科学235号 感覚をめぐる子どもの困りごと
出版者  日本評論社
出版年  2024年5月1日

雑誌 そだちの科学37号 学習の遅れを支える-限局性学習症の今-
出版者  日本評論社
出版年  2021年10月15日

雑誌 そだちの科学41号 自閉スペクトラム症のこれから
出版者  日本評論社
出版年  2023年10月20日

雑誌 そだちの科学42号 発達障害が多すぎる
出版者  日本評論社
出版年  2024年4月20日

雑誌 そだちの科学43号 愛着障害と発達軌跡
出版者  日本評論社
出版年  2024年10月20日

その他たくさんの書籍、ウェブサイトを参考にさせていただきました。
ありがとうございました。

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